Story 3は、理学療法士として働く三角さんの裏ストーリーをご紹介します。
冊子では紹介しきれなかったお話の中には、進路を選ぶときの葛藤や、「E判定」から始まった大学受験の経験、そして働きながら新たな学びに挑戦している現在の思いなど、理学療法士という仕事の奥深さと、人生の選択の面白さを感じるエピソードがたくさんありました。
ここでは、誌面には入りきらなかった三角さんの歩みや思いを、もう少し詳しくご紹介します。
「トレーナーになりたい」から始まった進路選び
三角さんが理学療法士という仕事を意識するようになったのは、小・中学生の頃でした。野球に打ち込みながら、「将来はトレーナーのような仕事がしたい」という思いを抱いていたといいます。
そんな中で親から提案されたのが、「理学療法士」という国家資格の道でした。当時はまだ具体的なイメージが持てていたわけではありませんが、「人の体に関わる仕事がしたい」という思いと重なり、進路の選択肢の一つとして考えるようになりました。
そこから三角さんは、「目標から逆算して進路を考える」という考え方を意識するようになります。将来の姿を思い描き、そのために必要な道を一つひとつ選んでいく。この考え方が、現在の仕事や学びの原点になっています。
「E判定」から始まった本気の挑戦
高校時代は野球に打ち込む日々を送っていた三角さんにとって、勉強は決して得意な分野ではありませんでした。
模試の結果は、すべて「E判定」。志望校の推薦も難しいと告げられ、進路の選択肢が狭まる現実に直面します。
「このままでは道が閉ざされてしまうかもしれない」
そう感じたことが、大きな転機になりました。
野球の試合での失敗とは違い、進路の選択は自分の人生そのものに関わるもの。そう実感したことで、「自分の人生に責任を持つ」という意識が芽生えたといいます。
苦手だった勉強にも向き合い続ける中で、少しずつ理解できることが増え、「学ぶこと」が面白いと感じられるようになっていきました。
「人そのもの」を見る仕事へ
大学時代、三角さんは当初の目標だったトレーナー活動を経験する中で、大きな気づきを得ます。
それは、「スポーツ選手だけでなく、子どもから高齢者まで、すべての人の体を支える仕事ができる」という理学療法士の魅力でした。
日々の臨床では、不調の原因を探り当てるために仮説を立て、検証しながら答えを見つけていきます。その過程はまるで「謎解き」のようだと感じているそうです。
体の状態だけでなく、その人の生活や思いにも目を向けながら向き合うことが、この仕事の大きな魅力だといいます。
働きながら、さらに学び続ける理由
現在、三角さんは現場で経験を積みながら、大学院で新たな学びにも挑戦しています。
理学療法士としての専門性だけでなく、「人をより深く理解すること」をテーマに、心と体の関係についても学びを深めています。
現場で感じた疑問や気づきを、学びの中で整理し、再び現場に活かしていく。そんな循環を大切にしているといいます。
「自分の中に“測り”のようなものを持つことが大切」
そう話す三角さんの言葉には、自分自身で考え、判断していく力の大切さが込められていました。
「やりたいことがない」ことも、大切なスタート
進路に悩む学生に向けて、三角さんはこんな言葉を話してくれました。
「やりたいことがないというのは、何にでもなれるということだと思います」
正解の道を探すことにこだわりすぎず、まずは一歩踏み出してみること。たとえ遠回りに感じたとしても、その経験が後になって自分の力になることもあるといいます。
さまざまな経験を重ねる中で、自分が本当にやりたいことや、大切にしたいことが見えてくる。だからこそ、焦らず、自分のペースで歩み続けることが大切だと感じているそうです。