11月21日、和良比小学校にて和良比小避難所運営委員会が主催する和良比小避難所開設・運営訓練が行われました。
同委員会は、四街道三区自治会など8つの区・自治会合計2400世帯が和良比小学校を市の指定避難所として運営するために立ち上げられた組織です。
今回で8回目の訓練となります。

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2年に及ぶコロナ禍の影響もあり、今年度も一般の区・自治会員による避難者としての参加は見送り、
和良比小避難所運営委員会の役員や会員ボランティア、区・自治会長を中心とする約100名が参加する訓練となりました。

今回の訓練の重点項目は以下のように明確に示されています。
   1 各区・自治会における安否確認などを充実する
   2 新型コロナウィルスび感染症対策に配慮する
   3 活動班ごとの業務を間違いなく把握し実践する
   4 会員ボランティアを含めた活動班同士の連携・支援体制を確立する
また、今回の訓練は、来年1月、2年ぶりに開催される四街道市防災訓練の内容の基礎となります。

午前6時、千葉県北部を震源とするマグネチュード7.3の地震が発生。四街道市で震度6弱を計測ーこんな設定で、訓練はスタートします。
その後次第に市内で停電、ブロック塀の倒壊、断水など被害状況が明らかになり、市防災本部避難所班員が和良比小施設管理者と共に避難所施設の安全を確認。その後避難所運営の関係者が集まり始め
9時30分 運営委員会委員長による避難所開所宣言で訓練がスタートします。

各活動班では粛々と打ち合わせと運営実践が始まりました。
例えば…
安全班は、体育館内居住エリア内に感染予防対策の居住スペースを区割りします。
情報広報班は、避難者の体温測定を行って異常のない人を体育館、発熱世帯を東昇降口に誘導。メインの居住エリアとなる体育館には、避難所を運営するにあたってのルールを記した紙を掲示します。
防護服着用の衛生班は、発熱者世帯は別のルートで隔壁されたビニールカーテンの向こうに案内します。車いすの利用者は、要援護者室へ。なお、コロナの自宅療養者・濃厚接触者は、校門入口から直接、グラウンドに設置された2つのテントに入り、移送まで待機することとなります。さらに衛生班と連携しながら防災井戸から取水した水をバケツで運び、水洗用の水桶に入れます。
総務班は、避難者集計用メモに区・自治会ごとに要支援者の人数を書き込んでいきます。
食糧物資班は、支援物資を自治会ごとの避難者数分配布します…

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5つの活動班の訓練は滞りなく進みます。進捗状況は、活動班長から委員長へ適宜連絡・報告されます。
今回もこの訓練が万全の体制で行われるよう、2週間前の拡大会議では和良比小学校を視察し、シュミレーションを行ったり、区・自治会経由で要領を共有したと聞きます。
「といっても、避難所の原則のひとつは、避難所に関わる人が自分で考え、行動することです。例えばマニュアルのない場合、運営委員会に属する私たちは、避難所の方々の安全を確保し、効果的効率的な生活ができるように対応することを自分の判断で行うことになります」と阿部欽三避難所運営委員会事務局長。

各活動班の活動を共に支えているのは、30人ほどの「会員ボランティア」。これまでの自身の資格や知識、経験を生かして、被災者支援に役立ちたいと自ら手を挙げた皆さんです。
総務班に所属する大森茂美さんは、運営委員会立ち上げ当時から訓練に関わり、避難者の名簿作りに関わってきました。自治会長や区長の交代で運営委員の顔ぶれも変わる中で、当初からのノウハウを次の担当者に伝え引き継ぐ役割を果たしています。
現役時代は特別支援学校に勤務していた岩井隆典さんは、避難に配慮の必要な人の誘導の手助けをしたいと安全班のメンバーとして毎年訓練に参加しています。「区・自治会全体の集合訓練が復活したら、ぜひ障害のある人も参加し、避難の大切さを体感してほしいと思います」。

訓練の中では「防災士」のビブスを被った皆さんの熱心な姿もありました。減災や社会の防災力の向上のために活動する防災士による「四街道市防災士協議会」のメンバーです。この日は市内各地域より6名が参加し、発熱者エリアでの活動班の訓練、組み立てられた段ボールベッドなどを回り、熱心に意見交換をしていました。
「防災士の皆さんは自分の住まいのある地域での自助・共助・公助という災害対応全般の担い手となることが期待されます。共助として位置づけられる避難所運営に関してもそれぞれの役割をしっかり把握し、知識や経験を生かしてもらって私たちと連携していただけることを強く願っています」と阿部事務局長。
活動班の訓練が一通り落ち着いたところで、参加者が一堂に集まっての生活環境設営訓練が行われました。
照明設置訓練や室内テントの組み立て・収納訓練も行われました。段ボールトイレや発泡スチロールベッドなども展示され、参加者は実施に災害が起きた時をイメージすることができました。

訓練の最後には、佐渡市長からの挨拶と澤畠危機管理官からの訓練に対しての総括もいただき、今年度の訓練も無事終了しました。


2016年に和良比小避難所運営委員会が立ち上がって以降、避難所開設・運営訓練は毎年実施されていますが、この間コロナウイルスの感染拡大を含め、避難所運営に求められることは刻々と変化しています。8年間積み上げてきたノウハウ・実績に甘んじることなく、さらに現状に応じて新しい意見を求め、対応を追及している避難所運営委員会の姿勢に、一市民として大変心強く感じました。このような組織が今後市内の他の地域でも設立されることを切に願わずにはいられません。