「みんなで」28号のテーマは「そのときのために」。自然災害が多発し、甚大な被害が各地で起きている昨今。私たちが災害に対してどう向き合っていけばよいのか、毎日の暮らしの中でどんな心構えをしていけばよいのかを記しました。

 災害時に備えて、現在四街道市内には、小・中学校・高等学校や公民館等計27か所の「指定避難所」があります。それぞれの避難所は小学校区を基本に割り振られていますが、大半が複数の区・自治会で使用することとなります。指定避難所では、被災者自らが力を合わせ避難生活を送ることが必要があり、自主的かつ円滑に避難所運営ができるよう「避難所運営委員会」を設立することが地域に求められていますが、残念ながら多くの場所で設立には至っていません。

 阿部欽三さんは、和良比小学校を指定避難所とする八つの区・自治会による和良比小避難所運営委員会の事務局長を務めます。


 東日本大震災後、自治会長を務めていた美しが丘に自主防災組織を設置し、その後みんなで地域づくりセンターが主催した連続防災講座への参加。講座後も講師の指南を受けながら7年前に避難所全体で機能する「和良比小避難所運営委員会」を立ち上げました。現在は年に2回の区・自治会連絡会との合同会議のほか必要に応じたメンバーで定期・臨時の会議を行い、情報交換や避難所運営のための知識や技術を常にバージョンアップさせています。Facebookによる発信やオンラインを利用した会議運営にも意欲的です。「避難所は平時の生活の縮図である」というメンバーの考えがその根本にあるからです。

 運営委員会の活動、秋に行われる避難所開設・運営訓練の様子などは、すでにセンターのブログでもご紹介いたしました(https://minnade.org/blog/2019/11/15191025-npo5-123824003322661-62-60-2022.shtml、https://minnade.org/blog/2019/11/post-420.shtml)が、今まで延べ2000名に及ぶ地域住民参加や話し合いの積み重ねは「運営委員の貴重な財産です」と阿部さんは顔をほころばせます。

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「訓練については、開設そのものが目的だった立ち上げ直後から次第に運営そのものへの充実に進んでいると感じます」。また、自主的に手を挙げて活動する会員ボランティア(医療・教育などの資格を有する方も含まれます)の活躍は今後とも期待されるところです。その一方で、コロナ禍での感染対策の中での避難所運営の在り方や、障がいのある方、外国籍の方やペット同伴の方など多様な支援の必要な方への支援方法、地域活動そのものに対する住民の関心といった時勢・時代の変化に対する柔軟な対応も随時求められています。



  東日本大震災後の自治会員の一言をきっかけに、試行錯誤を重ねながら自分たちの手で作り進んできたという和良比小避難所運営委員会。センターが事務局の「みんなで災害支援ネットワークの会」にも阿部さんは積極的に参加して、意見を述べてくださっています。

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 この夏も各地で豪雨等の自然災害が予想されています。またコロナ対応で自主防災等防災機材助成金の交付で各自主防災組織もそのあり方に見直しの機運がります。今、阿部さんをはじめとした委員会のメンバーに話を聞いてみるよいチャンスなのかもしれません。
(※注 一番上の阿部さん以外の写真は、過去の避難所開設・運営訓練から)