みんなの学食「りんごとはちみつ」は、市役所横にある日替わりシェフの店「さくらそう」で月1回開かれています。
2018年、四街道市みんなで地域づくりセンターが主催した講座「みんなでおしゃべりできる居場所をつくろう」の 受講メンバーが中心となって団体「ハニー&アップル」を立ち上げ、活動が始まりました。上記講座で分かったのが、中高生の「居場所」がないことと子どもたちの「孤食」の問題。その問題を少しでも解決したいとハニー&アップルは、中高校生の居場所づくりと食事の提供を始めました。その活動は、平成31年度は「コラボ四街道」にも採択されています。
開店日は16時オープン、来店者は自由に過ごし、18時からは食事タイムです。中高生は200円でカレー、副菜とデザートを食べることができます。家に戻ってきたような温かさや気楽さが、来店者同士の交流のきっかけを作り、今では中高生はもちろん誰でも気軽に利用できる場所になっています。
「りんごとはちみつ」は主に大人の食事代と、野菜や果物などの食材の寄付で運営されています。スタッフは全員ボランティア。カレーの具に何を入れるか、どんなサイドディッシュをつけようか…ここは主婦スタッフの腕の見せどころ。季節感も盛り込んだ愛情いっぱいのカレーに、ときには腹ペコの男子が3杯、4杯とお代わりをしていくそうです。
さて、りんごとはちみつにボランティアスタッフとして高校生が参加するようになったのは、昨年夏。学生の大好きなタピオカミルクティを作り、玄関先で販売を担当しました。現在、高校生スタッフは小山さん、増田さん、西谷内さんの3人(取材日は2人)。「おかげさまで、お店もキッチンも活気がでて華やぎました」と目を細める代表の伊藤さん。寒くなってからは彼女たちのアイデアでホットチョコレートの販売を始めました。濃厚なチョコレートにマシュマロのトッピングは、凍える体を温めてくれる上質のお味です。
大人スタッフと顔見知りだったお母さんの勧めもあってボランティアを始めたという高校生スタッフ。取材当日に会えた2人は、それぞれ将来保育関係・食物または薬品関係の職業につきたい、と目を輝かせます。「もとから興味のある分野でしたが、現場に近いこの場所を体験することで、その想いは強まりました」。また「大人スタッフの皆さんに、食事にまつわる知識や配膳のマナーなどを優しく教わったことも大きな収穫でした」とも。
この4月からはいよいよ受験勉強も本格化する高校3年生。「受験勉強は気になりますが、月1回の活動ですから、ここもできるだけ続けていきたいと思っています」。
そして近くの席には、高校生になったらぜひ活動したい!という頼もしい中3女子が2人。学校も住んでいる地域も先輩たちとは異なるそうです。ボランティアのすそ野が着実に広がっていくのを感じました。
地域と子どもたちを見守りたい、と入念な計画と時には斬新なアイデアで活動を続ける「りんごとはちみつ」。さらにボランティアとして地域で活躍する学生にも寄り添い、励ますスタッフの姿に接することができました。