「みんなで」23号 「近所の大人」になろう を作成するにあたり、新生自治会の学童交通安全指導員の皆さんを訪ねました。

 子どもの登下校の見守りをしている「近所の大人」はどれぐらいいるのでしょうか。

 新生(あらおい)地区は小さな自治会ですが、その中に車の往来も多い通学路が2本あります。四街道小学校や四街道西中学校の通学路として利用されており、多くの子ども達の通学を見守るために、毎日5人(取材当日は4人)の指導員の皆さんがお揃いのビブス姿で立ってくださいます。

 見守りのきっかけは、「自治会の役員になって」「手伝って欲しいと頼まれて」とさまざまですが、寒い朝も雨の朝も毎日立つのはとても大変なことです。皆さんの姿からあふれんばかりの熱い使命感と子ども達への安全の思いが伝わってきます。

取材中、自治会長を務める清水さんは「今日はまだあの子が来ないんだよ」と心配そうに遠くに目をやります。その子の姿がようやく見えたのは、学校に間に合いそうにない時間。清水さんはほっとした表情で「ほら、遅刻するぞ」と声をかけると、彼は学校へ向かってちょっと小走りに駆け出しました。登校途中に腹痛を起こしてうずくまった子がいた時は、このままにしておくわけにもにもいかない、と車に乗せて学校へ送って行ったこともあるとか。

また、長年通学を見守る皆さんにとって、子ども達の成長はなにより嬉しいそうです。ランドセルが歩いているかのように小さな1年生は、入学したての頃はなかなか「おはよう」が言えなかった子が大半です。でも、学年が上がるにつれ挨拶してくれるようになるそうです。そして卒業の朝には「今までありがとうございました、と一礼してくれた時はとても嬉しかったですね」とはお仲間の一人。

どの町にも見ることのできる「朝の見守り」。あまりにも日常的すぎて気づかなかった風景の裏には、保護者でもなく先生でもない「近所の大人」の温かな思いがあることをあらためて感じました。