9月6日、「みんなで」22号「ともに」生きるまちへ の作成にあたり、「ガイドヘルプグループ 四街道友愛の会」に取材に伺いました。
「ガイドヘルプ」とは、障害などがあり一人で外出するのが困難な人に必要なサポートや介助を行うことです。社会福祉協議会などで提供する生活介護サービスの一部にもありますが、「ガイドヘルプグループ四街道友愛の会」はそれに加え、視覚障害者同士あるいは市民との交流などを目的に活動しているボランティア団体です。主な活動は、月1回の懇親会での交流のほか障害のある人の外出支援、市内の小学校より要請を受けた福祉授業への講師派遣などです。現在、利用会員(視覚障害者)は7名、交流やガイドヘルパーとして利用者を支援する賛助会員が16名います。
取材は、9月6日の懇親会に伺いました。昼下がり、参加者は三々五々福祉センターに顔を見せ始めます。この日の参加者は利用会員と賛助会員、ヘルパーの合計10名。事務連絡の後、各自順番に話をします。話題は、夢中になっているゲームの話や奥様と出かけたフィギアスケートのショーのこと、使っているパソコンの調子が悪いこと…。その姿だけでは、正直誰が障害のある方なのか分かりません。趣味や仕事、外出などを通じて、皆さんが意欲的に毎日を過ごしている様子が伺えます。時折感嘆の声が上がったり、笑いがおこったりと穏やかな温かい時間が流れていきました。
「そろそろでかけましょうか」。1時間ほどで一緒に近隣の大型スーパーに向かうことになりました。会員は、左手に白杖を携えガイドヘルパー役とともに出発します。移動の際はガイドヘルパーのひじの上を握るかまたは肩に手を置きます。ガイドヘルパーは会員の歩調に合わせて半歩先を歩きます。軽く声を掛け合いながら横断歩道を渡り、スロープや階段を難なく上り・・・そのスピードは私たちとまったく変わりません!歩き慣れた道とはいえ、まだまだ残暑の厳しい時期、足取り軽く15分ほどで目的地に到着しました。移動の時間は、ガイドヘルプにとって学びの実践であると同時に、参加者全員で季節の風や空気を共有できる大切なひと時であるともいえます。
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スーパーに到着後、フードコートにコーナーを作ります。互いのことを十分知っているので席順がさっと自然に決まります。ドーナツやコーヒーなどをお供に再び楽しい語らいが始まりました。おしゃべりの弾むこのグループは、遠くから見ると同窓会?それとも近所の友人の集まりなどに見えるでしょうか?時には障害当事者として使いづらい点字ブロックや交差点のことなど重要な情報のやり取りもあるそうですが、懇親会は互いの都合のいい時間まで和やかに続けられます。
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そしてこの時間を利用して、ガイドヘルパーと一緒にスーパーに買い物に出る会員もいます。今日も会員の金子さんが大好きなチーズを見つけに売り場に出かけました。大好きな「いつものチーズ」を買いたいのですが、商品名を忘れ、ボランティアさんに店員も加わって売り場を探すこと30分。「見つかりました!」金子さんが満面の笑顔でみんなの元に戻られました。
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「実は買い物で一緒に売り場を探したり、陳列されている商品の説明をしたりすることが、ガイドヘルパーにとって大切な勉強になるのです」と話すのは、会のリーダーの菱沼正さん。「ここ」「あそこ」といったごく普通の言葉が視覚に障害のある人には伝わりにくいこと、さらには包装の具合で中身が触りにくいものや数種類もある商品の違いを相手に言葉でどう説明するかなど現場でしか学ぶことのできないことがたくさんあるそうです。改めて私たちの生活がどれだけ視覚に頼っているかに気付きました。
菱沼さんは、県立千葉盲学校の教員を務め、寄宿舎では子どもたちの自立した生活ができるよう指導されてきました。退職後も歩行訓練士としてこの会の運営や視覚障害者と市民の橋渡し役を担っています。「視覚障害者にとって一番大変なのは移動すること。駅のプラットホームや交差点など、命に関わる場所もあります。とくにガイドヘルパーは階段の形状や手すりの有無、ホームの端と電車の床までの距離や方向距離や方向をどう伝えるか腐心します。でもそんな困難を乗り越えて元気に活動する視覚障害者もいて、時には私たちが彼らの生き方に勇気をもらうこともあります。障害者のことをできるだけ多くの市民の皆さんに知ってもらいたいと思います」。
取材の最後に、市民大学で障害者支援を学び実践に生かしたいとボランティアとして参加される大岩さんは「この会で実際に障害者と知り合い交流をして、机の上だけでは分からなかったことがたくさんあることに気付きます。そして人と人が関わり理解するときには障害の有無は大きな壁ではないことも実感しています。みんなが気軽に声を掛け合い、思い合っていけるようになれば、四街道はもっとよいまちになっていくと思います」と話してくださいました。